築83年の農家を移築~旧家の趣を残し夫婦の快適な住まいを実現
S様邸(浜松市北区細江町・築83年/木造平屋建)
2011年6月完成
リフォームデータ
所在地 | 浜松市北区細江町 |
---|---|
家族構成 | 夫婦(70代) |
施工面積 | 108.16㎡ |
費用 | 1,850万円 |
工期 | 約4ヶ月 |
リフォーム箇所 | 母屋の移築・減築 全体リフォーム |
弊社プランニング&施工のポイント
国道の拡幅にともない、お住まいを移動することになったS様。当初現住まいを取り壊して新築するか曳家(ひきや)をしてリフォームするか迷われていました が、祖父の代からずっと住み続けてきた母屋はご主人の生家でもあり、柱のキズや梁の汚れの中にもいろんな思い出や家族の歴史が刻まれていたので『新築をして一から人生の思い出を作るには、あまりにも時間がなさすぎる』と考え、移築してリフォームすることになりました。
S様邸は昭和初期に建てられたお宅ですが、水廻りと玄関が昭和30~40年頃に一度改装され、趣のある梁組みなどが天井で覆い隠されていました。今回のリフォームで思い切って新築当時の姿を再現し、ご夫婦の今後の暮らし方に合わせて使い勝手や断熱性能などを考慮してプランしました。
玄関ホールからLDKや水廻り動線は段差をなくしてバリアフリーにしました。将来の身体的な負担を考え、ご夫婦がくつろがれるLDは床座から椅子座空間へ 変化させました。LDKに面した広い北の庭から安定した明るい光を取り込むため、大きな掃き出し窓を設けました。
お客様の声
おじい様の自慢だった大きな梁組みの吹き抜け空間が再び現れたことが何よりの喜びとなりました。
戦前の梁組みは素晴らしくとても美しいですね!!
【担当者より一言】
約5mの移築にともないリフォーム工事を行いましたが、リフォーム前のお住まいは段差が多く、設備も老朽化して使いづらく、断熱性能も低いなどご夫婦の将来を考えると、S様ご夫婦にとってリフォームは必然的なものではないかと思います。 移築にあたり、建物を2mほど持ち上げた時点で、東日本大震災の3月11日を迎え、肝の縮まる想いを経験しました。敷地の北側は国道まで4mほどの崖になっていて、もしも国道に転がり落ちたら…現場では結構揺れましたが、無事に移築することができました。 建物はしっかりとした造りであったため、どれだけ新築当時の形を残して使いやすく快適な住まいに仕上げるかがご夫婦との共通の思いとなりました。 田の字で構成された昔ながらの間取りから、足腰に負担のかからない椅子座のLDK空間をつくり、床をバリアフリーにして水廻り動線をスムーズに、トイレも近くなり、快適な住まいに生まれ変わりました。
平面図before&after
浴室&洗面&トイレ
床の段差をなくし、水廻り動線をスムーズにしました。 UB廻りに断熱材を充填し保温浴槽とペアガラスのサッシにより温かで快適な浴室に。 改装前は土間に下りて一旦外に出なくてはいけなかったトイレの床はホールに続いて無垢材を張りました。収納カウンターも積層材で造作して木のぬくもりを感じる空間に。
工事中の様子
移築の前に、減築や痛んだ柱の取替え工事、壁の補強工事を行いました。
東日本大震災が起きた3月11日、建物はまだ基礎を打つ前段階で宙に浮いた状態でした。
結構揺れましたが、職人さんの技術で崩れることもなく無事に移築することができました。
大掛かりな移築にともない、床下前面にコンクリートを打ち湿気対策を行いました。
サッシをペアガラスにし、床下と壁天井の断熱工事を充分に行いました。
この家が建てられた当時から見守り続けている地の神様